為替介入とは?|FX用語解説

「為替介入」の意味

為替介入とは、中央銀行や政府が外国為替市場において、自国通貨の価値の安定を保つために、市場に介入することをいいます。

ただし、ひとことで為替介入といっても実は様々な介入形態があります。

中央銀行や政府がどのようなことを意図して、何をしようとしているのかを把握しておくことは、FX市場の分析を行う上で重要です。

ざっくりとでも理解しておくと、ニュースなどで出てきたときに、状況を把握しやすいので、覚えておくことをお勧めします。

直接介入と間接介入、口先介入

一般的に為替介入というと、自国通貨を売って他国の通貨を買ったり(自国通貨高を阻止しようとする場合)、他国の通貨を売って自国通貨を買う(自国通貨安を阻止しようとする場合)というように、直接、中央銀行、または政府が外国為替市場で取引する直接介入のことになります。

これに対し、中央銀行、または政府が外国為替市場で取引を行うのではなく、中央銀行が通貨安、または通貨高に誘導するような金融政策を行い、間接的に市場を操作することを間接介入といいます。

現在、主要国の中央銀行のほとんどは物価の安定を金融政策の目的としており、外国為替市場の操作を目的とはしていないというスタンスですが、「本当に?」と感じることもあると思います。

また、ニュース等でよく耳にする口先介入は、市場の動きが一方向に進んでいるようなときに、中央銀行や政府の要人が為替介入を匂わすようなコメントを発して、市場に注意喚起することをいいます。

はじめて口先介入が行われたときやコメント内容に変化がみられたとき等は市場が過敏に反応し、短期的に大きく反応することがあります。

口先介入が行われたからといって、すぐに為替介入が行われるわけではありませんが、コメントの内容に緊迫感が増してきた場合は介入が近づいているかもしれません。

大規模介入とバリアー型の介入

直接介入の中には、主に大量の取引を短期間で行い、価格を大きく跳ね返すような大規模介入型と、価格を一定の水準を超えないようにブロックするバリアー型の2種類があります。

大規模介入型の場合は、短期間でトレンドに逆行する新規の売買が大量に入るだけでなく、トレンド方向に溜まっていたポジションの決済注文が大量に発生するので、短時間に大きな変動になります。

時間は数時間から数日続くこともあります。為替介入が入ってからしばらくは、値動きは荒い状態が続き、スプレッドも拡大する傾向があるので、初心者の方は落ち着くまでは近づかない方が無難といえます。

バリアー型の介入は、動き自体は基本的に激しくありませんが、その介入を中央銀行が突然やめるというような状態に陥ると破壊的な動きとなることがあります。

2015年に起きたスイスショックがこれに該当します。スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(SNB)はEUR/CHFで1.2の水準を維持するため介入を3年以上継続していましたが、突然、この介入を中止するという発表をおこないました。

この報道を受けて、一瞬でスイスフランは対ユーロで40%近く上昇したほか、その他の通貨に対してもスイスフランが大幅に上昇するという事態に陥りました。

当然、FX業者も大混乱となり、発表直後、スイスフランを中心にスプレッドが大幅に拡大したり、しばらく取引を停止するなどの対応に追われていました。

このようにバリアー型の介入も長期間続いた後、突然終了すると、大きなショックとなるので、注意が必要です。

単独介入と協調介入

為替介入には、1つの国の中央銀行が行う単独介入と複数の中央銀行が協力して行い協調介入があります。

当然、単独介入に比べ、協調介入の方が規模は大きく、基本的には市場への影響も大きくなります。

ただし、協調介入を行うには、他の中央銀行が納得できる理由が必要なので、簡単にはできず、実現へのハードルは単独介入に比べると、高くなります。

覆面介入とは?

介入を行ったことを当局がすぐに公表しないパターンの介入を覆面介入といいます。

すぐに公表しないことにより、投資家を疑心暗鬼にさせることで、市場の動きにブレーキをかけることが狙いの介入方法です。